五輪書 (講談社学術文庫)
私は30半ばになっても格闘技を齧る者です。道場に通いながら、技術と体力の向上に努めております。しかし、その2つを100%使うには心をうまく用いることが欠かせないことを痛感しております。
いくら道場で技術を磨いても、たとえば路上で絡まれた時、襲われた時に限らず、わが身に降りかかる火の粉を払うことに発揮できなければ意味がないと私は思っております。
事実、私の知人で格闘技のプロとして活動している者がキャバクラでぼったくられております。
あるボクシングジムで「ハートは教えることができない」と言われたことがあります。はたしてそうでしょうか?私はそうは思いません。
これは武道という世界に誇る文化をもった日本の大切な文化継承のテーマでもあると思います。
強さにおいて、ハートすなわち心を用いることを求める方、ただ強くなる(技術がある、マッチョになる)こと以上の本当の強さを求める方なら、この本の内容は肌に沁みるように入ってくるでしょう。
真剣勝負を経て人生を正しく生きる極意を求めた本当の武道家の厳しい、そして珠玉の言葉がここにあります。